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製作 第86回生 安福一樹


生物写真館

古代魚って知ってますか?
プラナリアの条件反射実験進化についての研究 進化についての研究
永久プレパラートの作成 夙川調査
錯覚 合成洗剤と環境

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マウス、ゴールデンハムスター、ブルーサファイア、謎の深海魚?!

標本集


貴重な蛾、蝶、蜂の巣、イグアナ、骨格標本、等の標本集は、我が部の大切な資料として受け継がれている。

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古代魚って知っていますか?

(以下 前回の音展の時の冊子)
第85回生  岸岡 智也
第85回生  水野 雄介
第85回生  古川 靖晃

 「熱帯魚」と聞いてまずイメージするのは、綺麗なひれを持った色とりどりのカワイイ魚達。しかし!それだけが熱帯魚ではないのです!
ここではその大きさ、力強さで一味違った熱帯魚のカタチを見せてくれる「古代魚」について知ってもらいたい、そう思います。ホントに奥が深いんですよ。

・古代魚とは?
 「古代魚」。聞きなれない方も多いはず。実はこの言葉、はっきりとした定義がないのです。大まかに言えば、太古の姿、特徴を持った魚、まさに「生きた化石」なのです。
 具体的にどんな魚が古代魚なのかというと、生物部で飼っているものでいうと、ポリプテルスやガー、ほかに有名なものでは肺魚やアロワナ、シーラカンス、サメやエイなども一般に古代魚と呼ばれています。個性的なものが多いですね。

・どんな魚?
 数億年前から変わらぬ姿を見せる古代魚。今日の魚とは違った様々な特徴を備えて います。
 まずヒレ。古代魚の中には胸ビレの付け根に骨が通っておりうちわの柄のようにな っているものがおり、この胸ビレを前足のように使い、水底で体を支えることが出来 ます。
 そして一番の特徴が「肺」。体の中にある一対の浮き袋、この浮き袋、内部が海綿 状(スポンジ状)になっており、多くの血管が近くまで来ているので、私達の肺と同 じような働きを果たすことが出来るのです。実際、水中の酸素が少なくなったりする と、水面から顔を出して空気を吸いこみ、呼吸をすることが出来ます。金魚が水面で パクパクしているのを見たことがあるでしょう。あの「鼻上げ」はまさにその名残な のです。古代魚はこの「肺呼吸」への依存性が高く、肺魚に至ってはエラの機能が衰 えています。
 と書きましたが、サメ、エイにはこの特徴は当てはまりません。サメ、エイの仲間 は軟骨魚類といって、硬骨魚類である今日の一般の魚とはう少し根本で違うようです。
・進化
 こんなに昔から姿を変えぬ古代魚、今日の魚の祖先であるだけで満足であるはずが ありません。そう、両生類の祖先にも近い魚なの です。先ほどの古代魚の特徴をよく考えてみましょう、陸に上がる準備は万全ですよ ね。
 このことについて、シーラカンスと肺魚、どちらが両生類の祖先に近いのか、激し い議論がなされています。
化石の研究からシーラカンスのほうが近いと考えられてきましたが、個体発生を研究 する学者は、その発生上の特徴から肺魚のほうが近いと主張。議論が絶えません。
さて、今流行りの遺伝子研究ではどうでしょう。遺伝子から祖先をたどる方法は2つ あり、血液中のヘモグロビンなどの遺伝子を解析する方法ではシーラカンスが起源だ と言い、細胞中のミトコンドリアの遺伝子解析では肺魚が起源だと主張する。
このようにどのような手段によってもどちらも意見も譲らず、最終的な結論には達し ていないのですが、肺魚起源説が今のところ有力のようです。

・お疲れさまです
さて、まぁ起源説の議論については余談なのですが、どうですか?奥が深いでしょう?
店の中では大きな体をうずくまらせてじっとしている彼等ですが、そこには私達人間 へとつながる進化の歴史が封じ込められているのかもしれません。派手で綺麗な魚に ばかり目がいってしまいがちですが、一度水槽の前にかがんで、彼等とみつめあって みてもいいかもしれません。人生の大先輩なのかもしれないのですから…。

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プラナリアの条件反射実験


第85回生 吉崎 寛之

趣旨:プラナリアに条件反射を覚えさせ、生物の記憶・学習について調べる。

使うもの:プラナリア、光だすやつ、電気流すやつ

条件反射というのは、例えばベルを鳴らしてから犬にえさをやるようにしていると犬 はベルの音を聞いただけでよだれを垂らすようになるといったものです。

 今回はそれをプラナリアでやります。プラナリアは電気を流すと縮みます。光を当 てても逃げる(これを負の走光性といいます)だけで縮みません。そこで光と電気を 同時に与え続けると光を当てただけで縮むようになるのではないかといったものです。
 具体的なやり方としてはひとつのシャーレにプラナリアを10数匹入れ、強い光と 50Vの電流を同時に約2秒与え、3秒止めてまた2秒与えるといった風に毎日30 分ほどやります。

 5日ほどやってみました。光だけ当ててみたところ縮んだように見えなくもないプ ラナリアが数匹いますが、あまりはっきりした反応ではありません。失敗です。なぜ でしょうか。いくつか考えられるので箇条書きにしてみます。

? 10日程度では条件反射は身につかない。
? 1日30分では短かった。
? 実験と実験の間は約24時間だがその間にプラナリアは前の刺激のことを忘 れる。
? 電流が弱かった。
? 光が弱かった。
? プラナリアが複数だったために電気刺激を受けにくい個体がいた。
? 刺激を与える時間が短い、もしくは長い。
? そもそもプラナリアは条件反射を身につけることはない。

全部仮説なんでなんともいえませんが、実験を始めた時期が遅かったのが最大の敗因 であるのは間違いないでしょう。

実験中に発見したこと
1、 プラナリアは電気刺激を受けると、その場所から遠ざかろうとする。負の走電性 かそれとも身の危険を感じて逃げているのか。おそらく後者。もしくは両方。
2、 実験を続けているうちに電気刺激に対する反応が鈍くなった。ある刺激を受け続 けると「慣れ」のようなものができるのだろうか。


成功した場合の発展実験
1、 一度覚えた条件反射はいつまで覚えているのか。
  また条件反射を覚えた後忘れた個体は再び条件反射を覚えるのが早いか否か。
2、 条件反射を覚えた個体をすりつぶし条件反射を覚えていないほかの個体に食べ させる。もし条件反射が受け継がれたなら、記憶を保存する何らかの物質が存在 すると考えられる。
3、 条件反射を覚えた個体を用いて再生実験を行う。
  これによってプラナリアのどの部分が記憶をつかさどっているかがわかる。


後記: この実験は資料が殆どなくやり方も結果もわからなかった。
   やはり結果がわからないほうが実験らしくて良い。まあ、結果はだせなかった ので全然駄目なのだが、結果がわかっている実験をやるよりは余程得るものがあ ったように思う。

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進化についての研究



第85回生  田中 和哉
第85回生  吉崎 寛之

昨今、遺伝子などの研究により生物の進化過程の解明が進んでいます。ここではその 話題の生物進化について、私なりの一つの説としての研究を発表します。

46億年前、地球が誕生し陸と海ができ有機物の蓄積が起こりました。その仕組みは1953 年ミラー(S.L.Miller)による原始地球(大気組成はミラーの想定とは違うと考えら れているが、それでも可能。)をを想定した装置内でのアミノ酸などの生成は証明で きる。
S.L. Miller, L.E. Orgel,"The Origins of Life on Earth," p.84,Prentice-Hall(1974)
その有機物蓄積を経て約38億年前に最初の生命ができたと考えられています。オパ ーリンは1963年コアセルベート説よりたんぱく質の分子を水分子が囲み、さらに水の 分子が囲むことによりコアセルベートを形成して、それが有機物を吸収すると内部で 化学反応が起こり原始生命体ができたと考えました。その生物は原核細胞・従属栄養・ 嫌気性(生命発生当時は酸素はなかたっとされています。)と先ほどの有機物が代謝 と自己複製機能を獲得したのです。オーストラリアで約36億年前の地層から最近の一 種と思われる微化石が発見されましたが、それが最古の生物化石といわれており、こ の段階の生物と考えられています。



そこからすべての生物は進化していったものと思われます。ATPや酵素の化学式の告示 などにより単一起源が今主流の考えとされています。その後、有機物が枯渇化し、初 の独立栄養生命体である光合成をする生命体が出現します。それにより酸素が蓄積し、 好気性生命体が出現します。好気性生命体は嫌気性よりはるかに効率よくエネルギー を摂取できます。その後真核生物が出現するとされていますが、ここの出現過程につ いては2説提唱されています。
一に共生説で環状DNAしかもたない原核生物に細菌などが共生し真核生物の細胞小器 官が形成されたという説です。
二に膜進化説で細胞膜が細胞内に侵入しDNAやチラコイド、ゴルジ体といったものを 包んで言ったという説です。
これについてはミトコンドリアや葉緑体は独自のDNAを持ったり、二膜構造であった りと共生説が核については膜進化説が有力です。
このように説が分かれるなど、この時代以前などはまだまだ解明されていないのが現 状です。現にアリストテレスの時代から生物部の一部は無生物的に発生し得るという、 自然発生説がありました。それは地上に落ちた果実は鳥になり水中に落ちた果実は魚 になるという現在からは考えられないような説ですが1862年白鳥口を持つフラスコを 途中水滴を付着させて内部の酵母に生物が発生しないことを証明したパスツールまで は、否定できていなかったのです。
この頃地球ではパンゲア大陸が形成され多細胞生物が出現し始めました。その後には エディアカラ動物群という無殻無脊椎動物の反映がありました。無殻無脊椎よりこの 時点では捕食生物は居なかったのではないかと想像されています。ここで先カンブリ ア時代が終わり、この後多種多様な生物は進化を遂げて生きます。
多種多様な生物の進化といえば色々な進化説が提唱されているが、科学的には説明が 難しく何説もあるがダーウィンの1859年種の起源の自然選択説が有力である。特化し た固体のみ生き残り子孫を残すことにより、その特化は種として固定される。敗者は 淘汰されるというかの有名な説である。だが、これにより人間は猿より進化したこと になりキリスト教徒等から反発を受けて世界共通の常識となっていないのが実情であ る。それに対してラマルクの1809年動物哲学の用不要説は必要に応じて特化させてい ったというものだが、獲得形質は遺伝しないことが知られている。他にド・フリース による突然変異説や、コープ、アイマーによる定向進化説など、ダーウィンの説にも 問題がある。また別にワグナーによる地理的隔離による進化の別離も提唱されている。
ガラパゴス諸島などがその例で、ゾウガメの甲羅の形などは諸島の中でも島により異 なっている。
現在はそれらを集めた総合説が有力であるが、それでも問題点は指摘されている。そ れに、やはり宗教的思想とあいまって真実は分かりづらくなっている。この分野はま だまだ未発展の分野であるが、その分興味深い分野といえると思われる。

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永久プレパラートの作成


第86回生  横山 真一

今回は、「ヒドラ」という腔腸動物門ヒドロムシ網に属する淡水産の小形の動物を用 いて以下の作業を行いました。
固定
生きている細胞は常に変化していて、これをできるだけ生きている状態に近いまま一 時的または永久的に停止させ、これからの作業を容易にするために行うのが「固定」で す。今回は「固定液」によるたんぱく質の凝固によって固定しました。
固定液
ピクリン酸飽和水溶液とホルマリン、氷酢酸を15:5:1に混ぜたブアン液を用い ました。
手順
伸びきったヒドラにすばやく固定液を流し込む。

脱水と包埋
脱水はアルコールなどを用いて試料内の水分を抜く作業、包埋は薄切のために組織片 をパラフィンなどに埋め込む作業です。
手順
以下の順に試料を溶液に浸していきます。今回は試料が小さいため、溶液をピペット で移し変える方法をとった。なお、浸す時間はその都度変えて、厳密には決めていな い。
50%エタノール→70%エタノール→90%エタノール→95%エタノール→9 9%エタノール→100%エタノール→キシレン→ソフト(キシレンとパラフィンの 混合物)→パラフィンで包埋
*キシレンに浸した際に白くにごれば脱水不十分

薄切
まず薄切を行う前に、パラフィンケーキ(包埋したもの)から試料の入った部分を切り 出します。この操作をトリミングといい、試料を中心に上から見て台形になるように 切り、上の面が試料と平行になるように削り、そして溶かしたパラフィンで台木にし っかりとつけます。
ミクロトームによる薄切
ミクロトームとは薄切用の器具で、刃と台木についた試料を装着して使います。その 後、切片の厚みを決めてハンドルを丁寧に回すと、薄切されたリボン状の試料が出て きます。トリミングがうまくできていないとこのリボンが曲がり、貼付で苦労するこ とになります。
貼付
以上の操作で出来たリボンをスライドガラスに貼り付けます。
手順
まずきれいに洗い、乾燥させたスライドガラスに卵白グリセリンという貼付剤を薄く 塗ります。そしてその上に蒸留水をたっぷりたらし、適当にきったリボンをのせます。
そしてパラフィン伸展器という装置の上にのせ、切片の縮みを熱と水の表面張力でも とに戻します。伸展後、余分な水を吸い取り、切片の位置を整えて乾燥させます。乾 燥後、スライドガラスに識別番号を彫ります。

染色と封入
生体を形成する細胞や組織の多くは無色のため、微細な観察ができるように染色し、 その後封入します。
手順
以下の順にスライドガラスごと試料を溶液に浸していきます。この作業ではスライド ガラスをカゴに入れ、それを溶液の入ったつぼからつぼに移し変えていくという方法 をとると便利です。また、浸す時間も正確に決めておらずその時々によって変えまし た。染色は、ヘマトキシリン、エオシン、ライトグリーンによる三重染色を行った。
キシレン1→キシレン2→100%エタノール→99%エタノール→95%エタノー ル→90%エタノール→70%エタノール→50%エタノール→ヘマトキシリン→蒸 留水による洗浄→エオシン→蒸留水による洗浄→ライトグリーン→流水による洗浄→ 50%エタノール→70%エタノール→90%エタノール→95%エタノール→9 9%エタノール→100%エタノール1→100%エタノール2→キシレン→封入剤 オイキット液で封入
封入は、スライドガラスに封入剤をたらし、カバーガラスをかぶせる作業です。この 際、気泡が入らないように注意します。封入後、プレパラートを水平に置き乾燥させ る。固まった余分な封入剤を削り取り完成。

観察の手順
 完成した永久プレパラートの観察は光学顕微鏡でおこないます。40(10×4)倍で ヒドラの切片の数が確認でき、100倍の油浸の対物レンズを用いて1000倍で観察すれ ば,外層の細胞数まで数えることができます。また,400(10×40)倍で顕微鏡写真を うまく撮れば,同様に細胞数を数えることができるので目が疲れなくておすすめです。

感想
 この一連の作業は非常に時間がかかるため、時間配分が特に大変でした。しかしこれ はあくまでも作業であって重要なのは出来た永久プレパラートの観察です。正直、完成 したものの中で出来がよく、観察しやすいものは半分弱でした。「観察するものを作る」
そして「永久のものを作る」ことの困難さを痛感しました。
プレパラートの顕微鏡写真
100倍(10×10)
右上にあるのが触手である

400倍(10×40)上図の四角で囲んだ胴体と触手の部分を拡大したものである

まんなかに外層と内層の境が見える    刺細胞が固定の際針を出したあとが見られる
矢印は刺細胞が針を出しているようす

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夙川調査


第84回生  宮本 真嗣
第86回生  安福 一樹

さて、今年度も甲陽学院生物部恒例の夙川調査を行いました。私の記憶が確かならば、 今年で、6年間以上連続で調査したことになります。今回の調査は時間の都合でパッ クテストのみとなりました。しかしながら、今まで以上に調査地点を増やし、そして 検査、試薬の種類も例年よりも2種類加えて臨みました。おそらくはある意味では例 年よりもボリュームがあるといえるでしょう。なお、今年は通常の調査結果のほかに, 現存しているすべてのこの河川の調査を比較したものを添付させていただきます。い つかこの調査結果が今後の夙川の調査活動の目安の一つにでもなればと考えておりま す。それではゆるりと御覧あれ。

@調査結果-調査場所はCを参照 Aグラフ
COD(化学的酸素消費量)のグラフ

PO4のグラフ

NO2のグラフ

NO3のグラフ

NH4+のグラフ


B考察
COD 遊歩道起点で大きく減少している。データに間違いがなければ,明礬橋以南に おいてこの場所で河川に面した植物が多様なことやタニシが大量発生していること と関係があるかもしれない。
Cr6+ 6価クロムはどの地点にも全く含まれていなかった。このあたりに過剰に有毒 な廃液を流している工場がないことがわかる。
PO43- これは典型的なグラフである。鉄橋から苦楽園駅東にかけて急に増加している のはこの辺から住宅地があるからだろうか。
NO2- 遊歩道起点まではほとんど含まれていない。上流からここまでは比較的生活廃 水等の流入が少ないせいであると思われる。

NO3- 硝酸イオンに関しては,下流に行くほどなだらかに含有量が増していくという 典型的なパタンになっている。
NH4+ 銀水橋においてのみ異常に増加している。この地点についてはデータの取り直 しなどさらに調査が必要である。

C調査場所(甲陽のそばから阪急夙川駅まで)

感想 CODの値がなぜか遊歩道始点と夙川駅北で下がっていた。
   たぶん遊歩道始点は砂防ダムや扇状地の植物で減っているのだろうと思う。
   クロムイオンが検出されなかった点はかなり良かったと思う。


過去5年間の統計データ


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錯覚



第85回生 近藤 侑貴
第85回生 田中 寿弥

我々は錯視の図などをたまに目にすることがあるかと思いますが、それがどういう仕 組みで見えているのかという具合に考えてみたことはあるでしょうか?
ただ、眺めているだけでも大変興味深いものなのですが、そういったことを色々な観 点から分析することで我々人間の知覚システムまでも見出すことができうるのです。
まず、初めはみなさんにも馴染みの深い遠近法の例から挙げてみましょう。

T遠近に対する我々の感覚
図‐1 網膜像の収縮

図の通り、見る人と見られる対象との間の距離が増大するにつれて、網膜に写る像の 収縮が起こるので、遠くにある対象は我々の網膜像では小さく、近くにあるものは大 きく写るのです。
ですが、しかし、両目の見え方の違い、眼に入ってくる光のパターンなどの網膜像以 外の様々な情報をもとに脳では遠近を考慮し、修正を施しているのでさほど、大小の 差は感じないのです。 
こうした網膜に写る像と脳に伝わった視覚情報とのずれが時には我々の錯視を引き起 こすのです。(図‐2)

図‐2 遠近に伴う錯視

(解説)二つの矩形の大きさは等しいのですが、上の部分の方が明らかに大きく見え るのです。これは図‐1で申し上げた通り、我々の感覚が図上では狭まっていく線路に 奥行きを感じ、線路が遠くまで続いているように見えます。こういったことにより、 図上の矩形も上にあるほうが下にあるものよりも大きいものとして認知されるのです。
(枕木と大きさを比較していただければ一目瞭然です)

図‐3 ミューラー・リヤーの錯視
これは1889年フランツ・ミューラー・リヤーにより考案された錯視図です。

左右の軸の長さに注目してください。軸を比べてみると、実際は同じ長さなのですが、 一見軸Bの長さのほうが大きく見えるのです。
これも遠近法の理屈によって説明できます。(図‐4)
図‐4 ミューラー・リヤー錯視の理論
先ほど図‐3で示したものは実際の三次元的発想の湧きやすい実際の風景で考えてみ ましょう。
  
図‐3と同じ形のものが絵の中にみえるでしょうか。そしてそれぞれの軸をよく見てみ ると、左の絵の中では軸Aがもっとも手前に、右の絵の中では軸Bがもっとも奥にあ るのがお分かりいただけますか?
左右の軸の線分の長さは同じであっても、手前の方に見えるAは遠近法によって縮め られて見え、奥の方にあるBは拡大されて見えるのです。
だからこそ、我々にはBの方が長いように感じるのです。

U遠近法以外の錯視図
図‐5 杯と横顔の反転図形
ルビンによって、1915年紹介され現在でも、図と地の反転のデモンストレーションに よく用いられています。

この絵は、見方によっては二種類の解釈を行うことができます。
それは黒い部分を背景として見ると、杯に。白い部分を背景として見ると、二人向き 合った横顔に見えます。これは、図と背景の反転によって起こる現象なのです。また、 これら二種類の絵を同じにみることはできません。我々が無意識で、どちらかを背景 として、とらえてるからです。
しかし、これは白、黒といった色の差で起こるわけではありません。

 背景と図の色を同一色にしたところで図‐5‐1と同様に二種類見えてくるはずです。
これは色によって背景と図を反転させている(無論、頭の中で)のでなく、絵の輪郭 線すなわち、境界線によって我々の視覚は背景と図を区別しているというほうがより 一般的だと思われます。二つの絵によってこうしたことも見えてくるのです。
もう少し違った例を挙げてみましょう。
図‐6 少女と老婆
心理学者ボーリングによって、1930年に心理学者に紹介されたものです。

これも図‐5と同様に二種類の形が見えてくるはずです。(注意してみてください) この絵においては、少女のアゴと老婆の鼻(図のAの部分)が同じ所にあり、そして それをアゴと認知するか鼻と認知するかによって絵の見え方が異なってきます。
具体的にいうと、仮にAの部分を鼻と認知すれば、当然その上にある部分には目があ るはずだという推測がなされます。そういったように、一つの部分から推測が始まり、 やがては顔の各部位そして全体も捉えることができます。
と、いうわけで最初の仮定が違えば、当然違った像となって認知されるわけなのです。 
このことにより図‐5また図‐6でもあった二種類のものを同時に見出すことができ ないということが言えるでしょう。
一見、絵を見るという動作に中で実は我々の頭の中では、その物体が何なのかという ことを理解するべく、一部を眺め、推測を施し、全体を捉えるという作業を行ってい るのです。
最後にもう一つ例を挙げてみましょう。
図‐7 立方体の投影

A、B、Cとそれぞれ図が並んでいます。
みなさんの見た感じでは、Aが立方体に、Cは正六角形にみえるでしょう。
ですが、Bは何に見えますかと聞かれれば、どのように答えますか?
三次元的(立体的)にも二次元的(平面的)にも見えるでしょう・・。
これは脳が図形をより簡単なように捉えようとするからです。
(ゲシュタルト心理学者の簡潔性の原理)
この原理に基づき各図をもう一度みていきましょう。
Aにおいては、二次元的に捉えるには複雑であるので、三次元的に捉える方向に傾きま す。
Bにおいては、二次元的にも三次元的にも捉えるには複雑すぎるので、どちらにも見え るのです。
Cにおいては、三次元的に捉える方が二次元的にとらえるより明らかに難しいので、二 次元的に捉える方向に傾きます。

考察
今まで錯視に関するいくつかの例を挙げてみましたが、何故そう見え、そこで我々の 頭の中ではどのように考えているかということを何となく分かった頂けたかと思いま す。
今挙げた例以外にもたくさん錯視の例が存在し、それらによって我々の知覚システム や心理と言ったものが解明されています。
と、いったように錯視というものは、面白いなぁと思うと同時に奥が深く考えさせら れるものなんだと感じていただければ幸いです。

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合成洗剤と環境


第86回生  安福 一樹

定義
合成洗剤とは石炭化学や石油化学原料などから合成されたものを親油基とする、界面 活性剤である。ちなみにここでは、洗濯機用の固形洗剤を論じ、合成洗剤というとこ れの事をさす。

合成洗剤の成分

1.主剤(25%)
2.硫酸塩(40%)
3.アルミノケイ酸塩(30%-35%)
4.蛍光増白剤(0.1%-0.5%)
5.ケイ酸塩
6.炭酸塩
7.酵素
8.CMC

1.主剤
現在使われているものは、 『LAS』=『直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム』 と言われ、これが油汚れを落とします。

C−C−C−・・・−C−C-ベンゼン環-SO3Na

直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムの図炭素鎖は12〜14

2.硫酸塩
主に粉末洗剤を湿気から守る乾燥剤の働きをします。
また、単なる商品の増量剤としても使われます。

3.アルミノケイ酸塩
昔入っていたリン酸塩の代わりの物質です。
効果はリン酸塩と同じく金属カスの生成防止のための金属封鎖作用
リン酸の欠点である排水の富栄養化が無く、無リン化のための重要な物質です。

4.蛍光増白剤
洗濯用の合成洗剤のみに含まれている白さを増すための染料です。
何故このような物が必要なのかというと、服の布地は青系の色をある程度吸収するの で、布地が汚れたようになってしまうからで白く見せるには青系の色を補わなければ ならないのです。
しかし、染料であるため、環境汚染が心配されています。


クリソフェニンG

5.ケイ酸塩
洗浄液が酸性になる事を防ぎます。酸性になると洗浄力が大きく落ちます。この物質 はそれを防ぐためのアルカリ剤です。

6.炭酸塩
5.と同じ効果

7.酵素
たんぱく質を分解するために入れられています。

8.CMC(カーボキシメチルセルローズ)
水の中に遊離した汚れが再び洗濯物に付着しないように再汚染防止の働きをします。

環境に対する問題
1.主剤
昔は主剤にはABS(アルキルベンゼン硫酸化塩)が使われていて、この物質は生分解性が 不十分なためなかなか分解されなかった。
なぜなら、アルキル基の形が自然界に無かったものであったためである。
そこで、LAS(直鎖型アルキルベンゼン硫酸化塩)が取って代わるようになった。(いわ ゆるソフト型)
LASのアルキル基は動植物油脂を構成するものだから、微生物によって簡単に分解でき るのである。
微生物による分解度はBOD8という方式であらわされる。これが、85%以上のものをソフ ト型そうでない物をハード型と区分している。
ちなみに、LASには毒性は無い。(根拠は下)

ABS系洗剤の毒性(ABS系洗剤とはABS,LASを含む系統)
毒性が無いという石けんもおなじく血液に加えると強い溶血性を示す。しかし洗剤と して使うならばどちらも問題は無い。

ABS系洗剤による皮膚障害
合成洗剤は皮膚の保護的な役割を果たしている皮脂を長時間接している場合、除去し てしまう可能性がある。人によっては皮膚が乾燥したりもするが大抵の人は大丈夫だ し、皮膚が弱い人は手袋を使うのが当然である。そのような現象が起こるということ は洗剤が強力だということの現れである。だから皮膚障害から合成洗剤を追放すると いうのは場違いである。ちなみに、石けんは皮膚の酸性で洗剤の機能が失われるので 問題は無い

ABS系洗剤による経口毒性
毒性は急性、亜急性、慢性毒性などに分けて考えられる。
●急性、亜急性毒性
これは、多量のABS(LAS)が一度に動物(ラット)の体内に摂取された場合どのくらい で死ぬか、というので求められる。
もしも、合成洗剤(主剤のLASが20%)の場合ならば、実験結果より50kgの体重の人 だと550gが致死量である。
この程度の毒性なら洗剤として普段使う上では問題は無い。
●慢性毒性
洗剤として使う上では口に入ることはまず無い。あるとしたら食品や食器を洗剤で 洗う事だが、食品は清水で洗っても殺菌できる。なぜなら野菜、果物の洗浄度は良 くなっているから。食器のような硬いものには洗い流した時にはほぼゼロに近い量 しか残らない。いやないと言ってもいいかもしれない。
下水道に流した場合、現在のLASなら下水処理場で分解されて毒性は無くなる。よ って飲み水などで入ることは無い。

以上の事より毒性には問題が無いと言える。

2.助剤(主剤以外)
リン酸系助剤による水域の富栄養化
これは、排水中に含まれるリンを栄養源として水域の植物、特に アオコのような藻類や、動物性ブランクトンが異常繁殖する問題で、瀬戸内海や、琵琶 湖、霞ヶ浦のような閉鎖水域ではこの現象がとてもよく起こり、その結果溶存酸素濃度 (水にどのくらい酸素が溶けているか)が欠乏して赤潮、アオコが発生し腐敗臭を発す るようになり、魚類のような水産資源が死滅する結果となる。
しかし、無リン化が進んだ今は洗剤との関連性は薄れたといえる。

蛍光増白剤による環境破壊
この薬品は前述したように、もともと白く見えない布地を白く見せるために入れてい るものである。この薬品は染料の一種で生分解性が悪く発ガン性の疑いが指摘される 問題の成分です。
ちなみに蛍光増白剤の成分はブランクフォアBかアゾ染料の一種で、スチルベン染料 の一種、クリソフェニンGかその他スチルベン構造をもつものである。

その他の助剤
その他に入れてあるものは、基本的には自然界にあるもので問題は無い。


有リン洗剤、無リン洗剤、石鹸溶液によるアオコの発生実験
実験方法
1. 有リン洗剤・無リン洗剤・石けんを0.1%,0.01%0.001%の三種類の濃度に溶かしたの を用意する。
2. つぎにアオコの発生に関するCODとリン酸濃度を測る。
3. アオコが発生している池から取ってきた水を1mlずつ入れる。
4. 日が良く入る所において何日か置く。

結果
有リン洗剤0.01%に少し0.1%にかなり発生した。そのほかには発生しなかった。有リ ン洗剤0.001%はリン酸濃度が薄すぎて発生しなかったのだろう。

結論
無リン洗剤、石けんはアオコの発生とは関係ない。


大結論

現在、合成洗剤成分の環境へ悪影響をおよぼす問題は三つ。

1. 主剤の種類 これはLAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムまたは直鎖 アルキルベンゼンスルホン酸塩)を選べば問題は無い。(まあ、ほとんどがそうでし ょう)
2. リンが入っているか これは成分表を見れば分かります(これもほとんどが大丈 夫でしょう)
3. 蛍光増白剤 これは入っているのと入っていないのがあります。入っていないの を使うと服が白くならないかもしれません。見た目を優先しないなら使わないこ とをオススメします。

あともう一つ問題があります。それは洗剤かどうかではなくて下水処理場がきちんと 分解しているかが問題なのです。これをはずすと洗剤で環境に悪影響を与える可能性 が高いのです。(ほとんどの人が大丈夫だと思いますけど)


参考資料
@COD(化学的酸素要求量)の実験方法(簡易パックテスト使用)
要旨
水の中に溶けている物質を分解するためにはどのくらいの酸素を消費するかの実験

実験方法
パックテストに入っているパックに穴をあけ、その中に水を入れよく振り5分待つと 色によって結果がでる。

欠点
1. 簡易テストのため、正確な値が出ない。
2. CODは化学的なので生物による分解に比べて少し誤差がでる。

ABOD8(生物学的酸素要求量)の実験方法(要約あり)
合成洗剤の生分解度試験方法 日本工業規格 K3363-1990
要旨
合成洗剤を活性泥土に入れて八日間培養してどのくらい残っているかによって試料の 生分解度を試験する方法である。

試薬及び材料
1. 水 1L
2. 塩化アンモニウム 3.0g
3. リン酸水素二カリウム 1.0g
4. 硫酸マグネシウム 0.25g
5. 塩化カリウム 0.25g
6. 硫酸鉄(U) 0.002g
7. 酵母エキス 0.3g 市販のもの
8. 生分解度を調べる試料
9. 活性泥土 主に家庭排水を処理している下水場から手に入れる。

装置
1. 振とう培養機
2. 振とう培養フラスコ 滅菌したもの

試験方法
1. 1から7までを混ぜて基礎培養基を作る。
2. 基礎培養基500mlに試料を約30r/lになるように入れる。
3. これに活性泥土を100mlごとに1mlの割合で入れる。
4. 25℃ぐらいで八日間培養する。
5. 培養液の成分を調べあらかじめ用意していた試料を入れていないものと比較し分 解度を出す。

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